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第29回CW研究会で発表

飯尾ゼミの和野さんが第29回サイバーワールド(CW)研究会で研究発表をしました。「アプリケーション配信サービスにおけるユーザーレビューの分析」というタイトルで、卒論で研究した内容の概要を対外的に発表したものです。

このCW研、毎年3月の研究会は、学生の発表が多い研究会です。和野さんのほか、成蹊大学の学生さん3名、東京大学の留学生も、それぞれの研究成果を発表し、さらに学生以外からの一般発表が1件、招待講演が2件とたいへん充実した研究会となりました。

以下、発表順に簡単なレポートを紹介します(学生による発表のみ)。

成蹊大の藤原さん
成蹊大の藤原さん

まずは成蹊大の藤原さん、東京ディズニーランドのアトラクションを効果的に回るための計画(プラン)作成を支援してくれるシステムを試作したというご発表です。巡回セールスマン問題の応用として、巡回アトラクション問題をバックエンドで解いているそうです(※ 「巡回セールスマン問題」とは、セールスマンがいくつかの訪問先を巡回することを想定して、できるだけ適切な巡回路を求めたい、という問題です。厳密解を求めるのは難しいとされており、計算機科学では、できるだけ最適な解をいかにして求めるかという点に焦点が当てられます)。

各アトラクションの混み具合や待ち時間まで考慮してうまくガイドしてくれるようなモバイル・アプリに発展すると、とても面白そうです。実際に待ち時間の情報を提供してくれるサービスがあるようなので、それとうまく組合せて便利なアプリケーションを作ることができるとよいですね。今後の発展が楽しみです。

成蹊大の金内さん
成蹊大の金内さん

続いて、成蹊大の金内さん、AR(Augumented Reality, 拡張現実感)アプリケーションとしてチェスの対戦アプリケーションを作成しましたというご発表です。マーカーにスマートフォンをかざすとチェス盤と駒が画面に出現し、またマーカー上で指を動かすことによって駒を移動させるというもの、さらにはBluetoothの無線通信を使って、2人で対戦できるというアプリだそうです。

発表後のディスカッションでは、「なんでARなの?」という素朴な質問が相次ぎました。「はじめにARありき」ということだったからとの説明でしたが、ARの良さをうまく示せるような条件設定をうまく考えるとよいかもしれません。

チェス盤だけ用意して、そのうえでバーチャルな駒を動かすことができる、というようなARアプリだったら、駒がバラバラと散らばってしまうこともないので面白くなるのではないでしょうか。さらに、ARだと現実ではできないことも実現できるので、そんなアプローチも面白いかもしれませんね。

成蹊大の山口さん
成蹊大の山口さん

3番手は、成蹊大の山口さんです。

皆さんSpheroというボール型ロボットをご存知ですか?このSpheroというロボット、Orbix社が提供している、手のひらに乗るサイズの小さなボール型の移動ロボットです。このロボットをペットに見立てて、制御アプリがインストールされたスマートフォンを追いかけていくようにしつらえたシステムを試作したというご発表です。

追跡のアルゴリズムに改善の余地が残されているため追跡途中で障害物に引っかかってしまうこともあるなど、まだまだ未解決な課題も多いということだそうですが、試作したシステムを対象としてユーザテストを行い主観的評価を実施したところ、「かわいい」という反応が8割以上だったとか。たしかに、自分が歩いている後ろからボールがコロコロと付いてきたら、可愛らしく感じてしまうでしょう。今後の展開が楽しみなロボット制御です。

中央大の和野さん
中央大の和野さん

休憩を挟んで、次は本学の和野さんが発表しました。

アプリケーション配信サービスに投稿されたレビューは玉石混交なので、その中に含まれるインチキなレビューをいかに排除するか、という研究の成果発表です。この研究で行った、前半の定量的なアプローチと後半の定性的なアプローチ、ふたつの分析手法が紹介されました。

いくつかの条件を設定して機械的に排除する方法はそれほど成果を上げることができなかったものの、定性的に調査したところいくつかの特徴的なパターンを発見できた、そこで、そのパターンに当てはまるようなレビューをうまく取り扱うことができるような枠組みを提案できれば、今後、自動的に不適切なレビューを排除できるのではないかとの提案で締めくくられています。

発表後の質疑応答では、「あるパターンでは不適切なレビューの自動的な排斥に成功しているのではないか」とのコメントも寄せられたので、励みになったのではないでしょうか。

東大のHuさん
東大のHuさん

最後の発表は東大のHuさん、画像共有SNSにおいて各投稿に付けられたタグが人気へどのように影響を及ぼすのか、その変化はどうなっているのかという研究成果のご発表です。

CW研究会では通常、日本語で発表と討議が行われますが、Huさんの発表に限り、英語での発表とディスカッションが行われました。ユニークなタグの数は年間を通じて周期があること、また、そのような状況において定常的に利用されているタグの数は300前後であることなどが報告され、質疑応答では「なぜそのような周期的変化が発生しているのか」とか「そのような変化で周期的に現れるタグはいったいどのようなタグなんだろう?」といった話題が議論されました。