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主な授業内容紹介(2021年度からのカリキュラム)

代表的な講義や演習のいくつかを紹介します。ここで紹介していない科目は、シラバスもご参照ください。


社会情報学基礎演習(1):1年次

社会情報学専攻の一年生全員が四クラスに分かれ、少人数授業で、大学での学びに必要な知識とスキルを身につけるます。

前期には、「大学での学びとは何か」からスタートし、四年後の卒業論文執筆を念頭に、レポートや論文の書き方を学びます。具体的には、文献の読み方(一般書・専門書)、統計データの読み方、資料・データの集め方、発表資料の作り方、発表の仕方、レポート・論文の「条件」、レポート・論文の書き方などを、細かく段階を設け、課題の提出を行いながら身につけていきます。後期には、社会情報学の専門文献をゼミナール形式で講読することで、専門分野の学びに入ると同時に、文献批評やプレゼンテーション、ディスカッションの方法に磨きをかけます。

大学卒業後も文章を書く機会や人前でプレゼンテーションする機会は必ずあります。上手にできるようになるよう練習しましょう。

毎年、とくに大学生活に慣れるまでは授業外の質問もあれこれ出てきます(積極的に受け付けています)。情報コミュニケーションコース、図書館情報学コース混成クラスであるため、専攻にさまざまな友人を作るきっかけにもなります。


社会情報学概論:1年次

多くの人は、毎日のように、SNSを使っています。またテレビを見たり、ネットで検索したり、本を読んだりします。家族や友達と会話をしたり、一人で考えたりします。

これらで共通に顔を出すのは、「情報」です。私たちは、他から情報を聞き、自分でも情報を作り、誰かに情報を伝えながら、生きています。

ところで、あらためて「情報」って何?と聞かれて、答えられるでしょうか。
字で書いてあるのは文字情報、音楽は音情報、写真は画像情報、・・・。でも、そこに共通に登場する「情報」って何でしょうか。

またマスコミやネットを通じて、様々な情報が流れます。それらの中で、どの様な情報は「信頼」でき、「信頼」できないのでしょうか。信頼性を判断するには、どうしたらよいのでしょうか。

社会情報学も、社会科学の一つです。上記のような問いを通じ、人間や社会について「科学」的に考えることを学びながら、「社会情報」について理解を深めていきましょう。


図書館情報学概論:1年次

みなさんに質問します。

「図書館ってなんですか。200字以内で説明しなさい。」
「図書館と本屋さんの違いはなんですか。250字以内で説明しなさい。」

この科目は、こんな質問から始まるでしょう。みなさん、答えられますか。
そして次のような質問も用意しました。よく耳にする話です。

「インターネットがあるのに、図書館って必要ですか。あなたの考えを述べなさい。」

いかがでしょうか。インターネットで検索すれば、いろいろなことが分かるこの時代に、図書館は必要なのでしょうか。答えは「もちろん必要!」です。

ではなぜ、図書館は必要なのでしょうか。そして、そもそも図書館とはなんなのでしょうか。その答えを図書館を外から中から、一緒にじっくり観察することで、紐解いていきましょう。

この科目は、図書館情報学を専攻する学生の基礎科目であるのと同時に、司書を目指す学生の導入科目でもあります。もちろん、最初に掲げた質問の答えを知りたい人も大歓迎です。まずはここから一緒に、「情報社会における図書館」の学びを始めましょう。


社会情報学基礎演習(2):2年次

社会情報学専攻の二年生全員を対象に、コースごとに三クラスに分かれ、引き続き大学での学びに必要な知識とスキルを身につけます。大きな目標は二つです。

一つは、「社会情報学基礎演習(1)」で扱った「大学での学びとは何か」の復習です。その上で、専門的な学術論文の読み方、プレゼンテーションの仕方へと進み、3年次以降のゼミでの専門的な研究に備える力をつけます。

もう一つは、質的調査の実施と分析に関する方法を学ぶことです。主としてインタビュー調査の企画、実施、資料の整理の仕方を扱いつつ、さらにドキュメント分析や参与観察法など、多様な質的調査の方法についても扱い、自分で質的調査が実施できるようになるための力を養います。「社会情報学調査入門」と「社会情報学調査実習」で学ぶアンケート調査の方法と合わせて、社会調査を自由自在に行う力を身につけましょう。


社会情報学調査入門:2年次

さまざまな社会問題や、人間の意識や行動を考えていく上で、データや記録を集め、適切な分析を行うことがとても重要です。社会情報学専攻では、こうした方法論についても充実したカリキュラムが用意されており、専攻内の授業で「社会調査士」資格の取得が可能です。

①前半は調べたいことに適した社会調査データや統計資料を適切に利用できるようにすることを目指します。e-statなどの統計資料や社会調査データの検索とダウンロード、Excelを使った簡単な分析などの作業を通して、データ活用のスキルを身につけます。データサイエンスが重要視される現在、データを正しく利用し、読み取ることができる能力は、文系の学生にとっても必須のものとなるでしょう。卒論やレポートの作成にももちろん役立ちます。

②後半は、量的な調査の特性や分析方法を踏まえて、調査項目の作成や仮説検証の練習を行うことを目指します。これが後期の「社会情報学調査実習」につながっていきます。

授業で使うスライドの例はこちら


社会情報学調査実習:2年次

前期に「社会情報学調査入門」で学んだことをふまえ、後期の社会情報学調査実習では、計量的な調査を実施して、自分の仮説を検証する作業に取り組みます。

標本抽出法、調査票の設計など、社会調査法の基本について学んだ後、テーマごとにグループに分かれ、実際に調査票を設計して、配布・回収からデータ入力・クリーニング、統計的分析、レポートの執筆までを行います。調査項目の作成やデータの分析、読み取りなどについては、個別に丁寧なサポートを行っていきます。あわせて「データサイエンス演習(初級・中級)」を受講すると、より本格的なデータ分析のスキルを習得することができるでしょう。

なお、質的な調査方法については、「社会情報学基礎演習(2)」で扱います。また、因果関係を推測するうえで重要な実験的研究については、「実験のデザイン」で扱います。実験的手法(ランダム化対照実験)は、ウェブマーケティングなどの分野でも用いられる手法です。


メディア・コミュニケーション学:2年次

私たちの日常生活はメディアなしでは過ごすことができません。さまざまなメディアがあたり前のように存在し、利用されている人間関係や社会の特徴を理解し、今後の社会について自分なりに考察できるようになることがこの講義の目標です。

そのための大きな柱は2つ。
・「メディア・コミュニケーションと社会」について考えるための基礎的な知識を身につける。
・1つの「正解」ではなく、複数の考え方やとらえ方を知ることで、自分の「常識」を相対化し、単なる自分の意見ではなく、根拠をもった考えができるようになる。

うわさや都市伝説から、新聞、ラジオ、テレビ、電話といった「古い」メディア、さらには、身近なスマホやSNSといった比較的「新しい」メディアまで、さまざまなメディア・コミュニケーションと社会の関わりを理論的・実証的に理解し、考え方を身につけます。


社会心理学:2年次

この授業では、私たちが日常的に行うコミュニケーションを支える心理的プロセスと社会的影響について、社会心理学の実証研究を紹介しながら論じていきます。たとえば、偏見や差別がなかなか社会からなくならないのはなぜでしょうか。集団の意思決定が陥りやすい危険とは何でしょうか。ソーシャルメディアは私たちの考え方や行動にどのような影響を与えているのでしょうか。さまざまなトピックを取り上げながら、人間の認知や考え方の「くせ」あるいはバイアスについて考えていきましょう。

さて、ここでクイズです。1円玉の表には何が描かれているでしょう? どんなデザインですか? ・・・答えはお財布の中を見てみてください。正確に思い出せていたら素晴らしいですが、思い出せなかったとしても心配ありません。毎日見ているはずのものもちゃんと「見ていない」のが人間なのです!


情報システム設計・情報システム開発:2年次

社会情報学を学ぶうえで、情報化社会を支えるシステムそれ自体を知ることも重要です。ただし、工学的な観点からだけでなく、社会における情報システムとは何か、ユーザとして情報システムとどう対峙していくか、使いやすさを考慮したシステム設計とは何かなど、情報システムを取り巻くあらゆるトピックについて学びます。

前期に実施する「情報システム設計」では、まず、システムとは何か、情報システムとは何かといった根本的なことを学んだうえで、データ構造とアルゴリズムやオブジェクト指向設計、要求定義など、システム設計のイロハを学びます。続いて後期に実施する「情報システム開発」では、簡単なグループ演習でシステム開発の模擬演習を行います。さらに、開発プロジェクトを成功させるために必要なプロジェクトマネジメントとは何かについて学習し、各手法の概要を身につけます。


メディア文化論のフロンティア:3年次以上

「メディア文化論のフロンティア」は、三年生以上を対象とした、少数精鋭で双方向的に行う、ハイレベルな応用科目です。これまでに学んできたことの、実社会への適用例を考えたり、大学院進学を視野に入れたりした、ワンランク上の学びを行います。

開講形式としては、一方向な講義よりも、議論を重視したゼミ形式または共同作業を重視したグループワーク形式で、開講年度ごとに、掘り下げるトピックを設定します。

一例としては、メディア文化論に関する最新のトピックを取り上げます。具体的には、ファン文化、若者文化などが挙げられます。「UGM」「UGC」といった概念が注目されているように(何の略語かわからない人は自分で調べてみましょう)、ユーザー自らがメディアやコンテンツに積極的に関わることのできる今日では、熱心なファンや若者たちの存在が大きな注目を集めています。そこにだけフォーカスを当てた授業を行うことで、じっくりと掘り下げた理解が深まるでしょう。

また、大学院進学を視野に入れて、あるいはこうした最先端の事象を理解するためにこそ、古典的な議論や、抽象的な理論を読み進めることも考えています。自分だけでは挫折してしまいそうな難しい内容の本であっても、周りと一緒に読むことで立ち向かっていくことができるようになるでしょう。


図書館情報学のフロンティア:3年次以上

「図書館情報学のフロンティア」は、二年生あるいは三年生までに学んできたことを基礎にして、少し背伸びして、図書館情報学の最新の動向をみなさんと一緒に討究する科目です。

たとえば、私の専門領域である大学図書館では、インターネットの普及や次々と開発される情報技術によって、新しいサービスの創造が求められています。みなさんも、スマホを持つことが当たり前になっているでしょう。そんな世の中で果たして、図書館は紙の本だけを提供していてよいのでしょうか。また、図書館は静かに勉強する場所というのが「常識」と思われていますが、果たしてそうでしょうか。大学の授業ではさまざまな活動が求められます。時と場合によっては、授業時間内であっても、図書館に行って調べ物をし、仲間と議論し、その成果を発表することが求められます。そのときに、本当に図書館は「静か」でよいのでしょうか。そして、一人で勉強できればそれでよいのでしょうか。

世の中はどんどん進化します。そのスピードは加速度を増しています。その是非はともかく、今、求められていることを遅滞なく提供するためには、今起こっていることを知り、近未来を予測し、将来をデザインできることが必要です。この科目で一緒に図書館情報学の最前線を体験しましょう。


社会情報学演習(ゼミナール)

3年生・4年生は全員、「社会情報学演習」を履修します。その詳細は「ゼミ紹介」をご参照ください。