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「社情の日常」カテゴリーアーカイブ
トークショーのお知らせなど
佐藤卓己さんの新刊『流言のメディア史』(岩波新書)の刊行記念トークイベント、「フェイクニュースのメディア論的転回」に登壇します。
2019年5月29日(水)19:00~
神保町ブックセンター
お申し込みなどは こちらへ
大学院生の時にとてもお世話になった佐藤さん(よく、自宅にお邪魔したなぁ~!)と、こんな形で話ができるなんて、とっても楽しみです。
また、電通育英会の会報誌に寄稿しました。
松田美佐,2019,「メディアの進化で人間関係は変わる?」『IKUEI NEWS』86,7-9.電通育英会
こちらもご覧ください。
FLP松田ゼミ 夏合宿取材記事第二弾
FLP松田ゼミでは毎年夏休みに取材合宿にでかけます。
鹿児島での2018年夏の取材記事の第二弾が『HAKUMON Chuo』2019早春号に掲載されたました。
「人」と「自然 」 が繋ぐ鹿児島の未来
過去記事もご紹介します。
「ネガティブ」を「ポジティブ」に変える鹿児島の人々 2018冬号
島根の“歴史”を、“未来”へ繋ぐ 2018春号
訪れたからわかる。島根の今とこれから 2017冬号
人減る高知を「人」の手で 高知を支える「人」のちから 未来を切り開くヒントを「人」に求めて 2017早春号
学生目線で切り込む 高知のリアル 2016冬号
高知→島根→鹿児島と訪問、今年はどこに決まるのでしょう。楽しみです。
うわさについての取材
3月上旬からツイッターなどを中心に「女児が暴行された」といううわさが広まっていました。この件について受けた取材記事が公開されましたので、お知らせします。
籏智 広太 「『女児が性的暴行を受け子宮全摘 』 はなぜ拡散したのか 噂の専門家が語る”善意”の恐ろしさ」『BuzzFeed News』2019/3/21
この件については、同じ記者が「『女児が公園のトイレで暴行を受け子宮全摘 』 ネットで拡散、過去にも同様の噂が」『BuzzFeed News』2019/3/6 という検証記事を発表しており、以前、「『10万人の宮崎勤』はあったのか?」で取材を受けたdragonerさんも、2019/3/8付で「『女児暴行のうわさ』の過去と今」を公開しています。また、毎日新聞のウェブ版(有料記事)「『花粉1万7000倍 』 『 キラキラネーム名簿 』 真偽は? ネット 拡散のワケ」2019/3/20も後半部分でこのうわさについて取り上げています。
「善意のうわさ」の怖さはもちろんですが、今回のケースで一番伝えたかったのが、下記の部分。取り上げてくださった籏智さんに感謝しています。
「一方で、発信者へのバッシングが強まっていることも気になります。ルートが可視化されることで、発信者があたかも悪意を持っているかのように叩かれる。しかし、噂はデマやフェイクニュースと違って、流している側は不安や、善意をもとにしていることが多い。指摘する側も、寛容になるべきだと思います」
さて、情コミ2年次必修の「メディア・コミュニケーション学」では、このようなうわさについても取り上げています。リアクションぺーパーからは、履修する学生のみなさんの考える「ネット時代のうわさ」の特徴がうかがえて、とても参考になるんですよ。
豊かな自治体ほど図書館が利用されている?その2
先日の投稿(1月22日「豊かな自治体ほど図書館が利用されている?」)について、コメントを頂いたそうです。「都心部にある図書館は、通勤などで利用する人が多いから、貸出数が多くなるのでは?」ということでした。(反響を頂けるとは思わなかったので感激です。ありがとうございます!)もっと早くに書きたかったのですが、続きのご報告が遅くなって申し訳ありません。以下、少し長くなって恐縮ですが、補足させてください。
ご指摘の件ですが、はい、その可能性はあると思います。貸出密度とは、貸出数/その自治体の人口、なので、厳密に言えば、その自治体の住民が借りているとは限りません。
そこで、東京都公立図書館データをもう一度見て、「(個人利用の)自治体内貸出比率」を出してみました。(貸出冊数内訳うち自治体内貸出数を個人貸出総数で割ってみました。)この「自治体内貸出比率」と「貸出密度」との相関係数を出すとr=-0.670。強い相関関係がみられました。「他自治体からの利用率が高い図書館ほど貸出密度の数字が高くなる」という事実は重要だと思います。貸出密度を指標とした分析の限界が示唆されますね。これも、別解釈をご指摘いただいたおかげです!どうもありがとうございます。
興味深い結果が得られたのですが、1つだけ注意も必要です。「自治体内貸出数」はデータに欠損が多く(=統計を取っていない自治体も多く)、都内自治体総数58のうち、37の自治体しかデータがそろわないのです。つまり、r=-.670という相関係数は、データの一部で見られた関係であって、すべてのデータがそろった時にどうなるのかはわかりません。 なお、こうした「データの欠損」は、データ分析ではよく見られます。たとえば世論調査の回収率は良くて60~70%です。「わからない」という回答もよくあります。利用できるデータが限られるときは、欠損を補うような補正をかけることもありますが、全体を推測するときには注意が必要です。 今回についていえば、利用者アンケートなどを併用するのが望ましいかもしれませんね。
さて、こうして、別解釈の可能性を考えるということは、データ分析において常に重要な課題です。そして一番面白いところです。 こうしたコメントを頂けて光栄です。
今回の分析例でいえば、「一人当たり税額」と「貸出密度」に相関がみられたとしても、別の変数(自治体の図書館予算や産業、利用者の年齢・学歴・職業など)を介した「疑似相関(見せかけの相関)」ではないかということはつねに頭に入れて考察する必要があります。複数の変数の効果を同時に検討する際には、 重回帰分析などの多変量解析を用いるのが1つの対策ですが、それで完了ではありません。データ分析の結果はあくまでも、「なぜそのような関係が出てくるのか」を考える次の出発点になります。(え?それじゃ意味がない?いえいえ、このサイクルが重要なのです。)
もう1つ大事なことがあります。比例や反比例などの共変関係が認められても、因果関係があるとは限りません。(税金をたくさん納めれば本を借りるというわけではありません。)因果の推測は難しいので、厳密にはランダムアサインメントを用いた「実験(対照実験)」が必要になります。(A/Bテストと呼ばれることもあります。)
ちなみに、社会情報学専攻では、隔年ではありますが「実験計画法」の授業も受講できます。簡単な心理学の実験なども体験できる授業です(私の担当ではありませんが、カリキュラムのひそかな自慢です)。ここでご紹介した研究法について 関心のある方は、安藤清志・村田光二・沼崎誠 (編)(2017)『社会心理学研究入門 補訂新版』(東京大学出版会)をぜひご一読ください。 私も第10章を担当しています。
なお、こうしたトレーニングは、学部の授業でも行っています。その一部はまた後日ご紹介させてください。
簡単な分析ができるだけで、他にもいろいろなことが見えてきます。長くなってしまったので、次回に続きます。
八王子市との共同研究・中間報告会’19
今年も八王子市との共同研究、中間報告会が行われました。そのときの様子が広報部からニュースとして配信されましたので、そちらを紹介します(手抜きですみません)
http://www.chuo-u.ac.jp/usr/news/2019/02/79494/
話題の可視化(2)
以前、「話題の可視化」というタイトルで、Twitterのトレンドワードをグラフにするという話を紹介しました。今回は、毎日たくさん現れては消えるトレンドワードそのものを図示することで、その日とくに話題に上っていたトピックは何かをひと目でわかるようにしようという試みです。

この図は、2019年1月26日に収集したTwitterのトレンドワード群を、ある法則に従ってグラフ化したものです。個々のトレンドワードには「話題の可視化」で紹介したグラフが紐付けられているので、そこに出てくるワードとその出現確率で多次元空間を作ることができます。その空間においてコサイン類似度(多次元空間における類似度指標のひとつ)を計算し、一定のしきい値を超えたワード、すなわち似たような内容の話をしているもの同士を線でつないでいます。線の上に記されている数字は、コサイン類似度の値です。1.0に近いほど、両端のワードは似ている、ということになります。また、2つ以上のトレンドワードが関連するものとして判定された場合については、それぞれに色を付けて目立たせるようにしてあります。
この日は全豪オープンで大坂なおみ選手が優勝したという出来事がありました。この図でみると、中心部分の水色で示された話題がそれに関連したトピックだということが分かります。この日、いちばん大きな話題だったということも分かりますね。

次の図は、翌日、1月27日の図です。この日は「人気グループの嵐が2020年をもって活動停止する」というスクープが話題になりました。中心部分の塊は、その話題に関連したものだということが分かります。
このように、Twitterのデータから世間の流行をひと目で分かるようにするという試み、なかなか面白いものだと思いませんか?社会情報学専攻では、こんな研究も行っています。