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豊かな自治体ほど図書館が利用されている?

大学院の授業で、公開されているデータや統計資料を使って、いろいろな分析をしています。

試しに、都内23区+市町村の図書館利用(貸出密度=図書館の貸出数を自治体内人口で割ったもの)と、一人当たり税額をプロットしたら、上の図のようになりました。「一人当たりの所得が大きい自治体ほど、図書館の本がよく借りられている」という関係が見えます。

面白かったので、これを学部1年生や2年生のクラスに見せて、「なんでこんな関係になると思いますか?」と考えてもらいました。(仮説を考える練習です。)

比例・反比例関係の強さを表す「相関係数」を出してみると、一人当たり税額と貸出密度の相関係数rは0.496でした。(ちなみに分布に合わせて税額の対数をとったものと貸出密度との相関を見るとr=0.590になります。)相関係数は絶対値が1に近いほど完全な比例・反比例の関係なので、0.5前後というのは、わりと関連が強いといえる数値です。

「お金のあるところは図書館に本がたくさんある?」・・・実は蔵書数と貸出密度はやや相関がありますが(r=.375)、蔵書数と一人当たり税額はほとんど相関がありません(r=.129)。ちなみに自治体の蔵書数と関係が強いのは自治体の人口でした(r=.902)。

 「お金持ちはケチで本を買わない?」

 「お金持ちは教養がある?」

 「学歴の高い人が高所得になりがちだから?」 ・・・などなど、どれも一理ありそうです。

 個人の読書行動との関連を見てみるとさらに面白そうですね。